年をとった猫は、後ろ足の力が弱くなったり、
関節が少しずつ硬くなったりすることがあります。
そのため、歩くときやジャンプをするときに、
少しふらついたり、不安定に見えることがあります。
⚠️ 大切:後ろ足の動きが気になるときは、
まずは獣医さんに診てもらいましょう。
特に以下のような変化があれば、早めの受診がおすすめです:
- 急に動きが悪くなった
- 痛そうにしている
- 片方の足だけおかしい
🔍 なぜ後ろ足に注意が必要か

高齢猫に起こりやすい変化
筋骨格系の変化:
- 筋力低下: 加齢により筋肉量が減少
- 変形性関節症: 12歳以上の猫の約90%に見られるという報告があります
- 関節の可動域低下: 痛みや硬さにより動きが制限される
その他の重要な疾患:
- 慢性腎臓病: 高齢猫に極めて多く、筋力低下の原因
- 甲状腺機能亢進症: 筋力低下を引き起こす内分泌疾患
- 神経疾患: 脊髄疾患などによる後肢の麻痺
悪循環のメカニズム
痛みや不快感 → 動きを避ける → 筋力低下 → さらに動きにくくなる → 活動量のさらなる低下
🩺 まず獣医師の診察が必要なケース

以下の症状が見られる場合は、速やかに獣医師に相談してください:
- ✓ 急激な後肢の衰え(数日〜数週間での変化)
- ✓ 片側だけの異常や左右差
- ✓ 痛みの兆候(鳴く、触られるのを嫌がる、攻撃的になる)
- ✓ 明らかな跛行(びっこを引く)
- ✓ 排尿・排便が困難
- ✓ 後肢を引きずる、ナックリング(足の甲で歩く)
これらは基礎疾患のサインである可能性があります
🏠 獣医師の指導のもとでできる環境整備

1. 段差の調整
基本的な考え方:
- 猫が日常的に使う場所(ベッド、トイレ、食事場所、窓辺など)への移動を楽にする
- 段差を完全になくすのではなく、適度に後肢を使える高さに調整
調整の目安:
- 一般的には2〜5cm程度の段差が推奨されることが多い
- ただし、これは絶対的な数値ではありません
- 猫の体格(2kgと6kgでは大きく異なる)
- 筋力の状態
- 関節の状態
- 個々の猫の反応を観察して調整することが重要
具体的な方法:
- 市販のペット用ステップやスロープの活用
- 段ボール箱やクッションを利用した手作りステップ
- 滑り止めマット(必須)を敷いて安全性を確保
- 照明を明るくして段差を認識しやすくする
2. トイレ環境の改善
- 入り口の低いトイレに変更(高さ10cm以下が理想)
- トイレまでの動線に段差がないか確認
- 複数箇所にトイレを設置(移動距離を短縮)
3. 食事・水飲み場の配置
- 床に近い位置に設置(しゃがむ動作を楽にする)
- 複数箇所に設置(移動の負担軽減)
💪 適度な運動習慣の維持

重要原則: 無理をさせない・痛みを与えない
日常生活での工夫
遊びを通じた運動:
- おもちゃを使って興味を引き、自然に動いてもらう
- 猫じゃらしを低い位置で動かし、追いかけさせる
- 猫が立ち上がる程度の高さ(ジャンプ不要)におもちゃを持っていく
時間の目安:
- 1回あたり3〜10分程度(猫の様子を見ながら)
- 無理に長時間続けない
- 毎日少しずつ継続することが重要
- 疲労のサインが見えたらすぐに中止
観察ポイント:
- 呼吸が荒くなる
- 座り込む
- 興味を失う
- これらが見られたら休憩
マッサージやストレッチ
- 獣医師や動物理学療法士の指導を受けてから実施
- 自己流は禁物(関節を痛める可能性)
📋 日常観察チェックリスト

定期的に以下をチェックし、変化があれば記録しましょう:
移動について
- [ ] 歩き始めに時間がかかる(起き上がりが遅い)
- [ ] いつも使っていた段差を避けるようになった
- [ ] ジャンプをためらう、または失敗する
- [ ] 後ろ足の踏み出しにふらつきがある
- [ ] 左右の足の使い方に差がある
日常行動について
- [ ] トイレに行くのをためらう
- [ ] グルーミング(特に後ろ足や尾の付け根)をしなくなった
- [ ] 以前より寝ている時間が長い
- [ ] お気に入りの場所に行かなくなった
痛みのサイン
- [ ] 触られるのを嫌がる(特に後肢や腰)
- [ ] 普段と違う声で鳴く
- [ ] 食欲が落ちた
- [ ] じっとしていることが多い
変化があれば、スマートフォンで動画を撮影し、獣医師に見せると診断の助けになります
📖 実際来られたご家族のケース例(参考)

17歳の雌猫の例
状況:
- ソファからの降りが不安定
- トイレまでの移動にためらい
獣医師の診察結果:
- 変形性関節症と診断
- 痛み止め(NSAIDs)処方
環境改善策(獣医師の指導のもと):
- ソファ下に低めのステップ設置(約5cm、滑り止め付き)
- トイレを入り口の低いタイプに変更
- トイレを2箇所に増設
- 毎日5分程度、低い位置のおもちゃで遊ぶ
経過: 約3週間でソファの昇り降りがスムーズになり、トイレへの移動も改善
注意: これはあくまで一例です。全ての猫が同様に改善するわけではなく、個体差があります。必ず獣医師の診察と指導を受けてください。
✅ まとめ

最も重要なこと
- 後肢の機能低下は、必ず獣医師の診察を受ける(基礎疾患の除外が必須)
- 痛みの管理が最優先(必要に応じて鎮痛薬の使用)
- 環境整備と適度な運動の両立
実践のポイント
- 段差調整や運動習慣は、あくまで獣医師の指導のもとで実施
- 数値はあくまで目安。猫の反応を見ながら個別に調整
- 急がず、焦らず、猫のペースで
- 定期的な観察と記録
- 変化があれば速やかに獣医師に相談
飼い主さんができること
- 愛猫をよく観察し、小さな変化に気づく
- 安全で快適な環境を整える
- 獣医師と協力して最適なケアを見つける
- 猫の「できること」に目を向け、楽しい時間を共有する
猫ちゃんの 食事・生活習慣・病気予防 など健康に役立つ記事もまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてみてください

著者紹介
実体験をもとに「猫と快適に暮らすヒント」を ”ねこだよ!” で発信中。
私たちの日常の様子は、YouTubeでも紹介しています。
みーちゃん family – YouTube
※免責事項
本記事の内容は一般的な参考情報です。
すべてのペットに同じ効果があることを保証するものではなく、個体差があります。
健康管理やケアは、必ず獣医師などの専門家にご相談のうえで行ってください。
自己判断での治療やケアは避けるようにしてください。
