「うちの15歳の猫が、最近やたらと甘えてくる」「前はマイペースだったのに、今はずっとそばにいる」——そんな変化に戸惑う飼い主さんは少なくありません。
高齢猫の行動変化は、単なる性格の丸みによるものなのか、あるいは**認知症(猫の認知機能不全症候群)**のサインなのか、見分けが難しいことがあります。
この記事では、動物看護師としての臨床経験と実際の症例をもとに、「甘えん坊化」が示すサインを専門的に解説します。
猫の高齢化と認知症の関係

猫は近年、医療と栄養の発達により平均寿命が15歳前後といわれます。
15歳は人間でいえば約76歳に相当。体の衰えだけでなく、脳の老化による行動変化も起きやすい時期です。
猫の認知症とは?
猫の認知症は、脳内の神経伝達の低下や酸化ストレスの蓄積により、記憶・認識・学習能力が徐々に低下する状態を指します。
犬よりも研究は少ないですが、近年は猫にも認知症があることが確認されています。
「甘えん坊になる」のはなぜ?考えられる3つの理由

① 認知症の初期症状としての「分離不安」
認知機能が低下すると、猫は空間や時間の認識があいまいになります。
飼い主が少し離れるだけで不安を感じ、「鳴きながら探す」「そばを離れたがらない」といった依存行動が見られることがあります。
🩺 動物看護師の現場メモ
夜になると鳴き出す「夜鳴き」も、この分離不安に伴うケースが多いです。
飼い主さんが寝室を離れるだけで鳴く場合、環境の見直しが必要です。
② 加齢による性格の変化
一方で、加齢によって性格が「穏やか」になり、人との距離を近づける猫も少なくありません。
若いころは警戒心が強かった猫が、シニアになると「一緒にいると安心」と感じやすくなる傾向があります。
これは社会的学習の積み重ねであり、必ずしも病気ではありません。
🧡 一次情報(現場実感)
15歳の三毛猫のミーちゃんは、以前は撫でられるのを嫌がっていましたが、シニア期に入ってから自分から膝に乗るようになりました。
検査では異常なし。老化に伴う「心の柔らかさ」だった例です。
③ 身体の不調を訴えるサイン
高齢猫は関節炎や腎臓病、視力・聴力の低下などで不安を感じやすくなります。
不快感や不安を和らげるために、飼い主のぬくもりを求めるケースもあります。
特に「甘える+鳴く+食欲が変化した」ときは、身体疾患のサインも疑いましょう。
性格変化と認知症の見分け方チェックリスト

| 観察項目 | 性格変化の可能性 | 認知症の可能性 |
|---|---|---|
| 飼い主に甘えるが落ち着いている | ◎ よくあるシニアの変化 | △ 初期の変化の可能性も |
| 鳴く・夜に落ち着かない | △ | ◎ 認知機能の低下が疑われる |
| トイレの失敗が増えた | × | ◎ 強く疑う |
| 食事や睡眠のリズムが乱れる | △ | ◎ |
| 名前を呼んでも反応が鈍い | △ 聴覚低下も考慮 | ◎ 認知症の典型症状 |
| 家の中で迷う・同じ場所をうろうろ | × | ◎ 要注意 |
自宅でできるサポート方法

- 生活リズムを一定に保つ
食事・照明・声かけの時間を揃えることで、猫の安心感が高まります。 - 優しいスキンシップを増やす
急な抱っこではなく、手を見せてからゆっくり撫でる。
「触れる時間」を日課にすることが、脳の活性化にもつながります。 - 安全で快適な環境づくり
段差を減らし、暗い場所には常夜灯を。認知症猫は夜間の混乱が起きやすいため、光の調整が効果的です。 - 早期の獣医相談
「甘え方が変わった」「鳴く時間が増えた」などの変化は、早めに受診し、血液検査や神経学的検査を受けましょう。
動物看護師からのメッセージ

15歳を超える猫たちは、心も体もとても繊細です。
「急に甘えん坊になった」という変化は、猫からの小さなサインかもしれませんし、
「もっと一緒にいたい」という愛情表現かもしれません。
日々の観察を通じて、
「いつもと違う」を見逃さず、
変わったところがあっても、その子らしさを大切にしてあげてください
まとめ

- 15歳前後の猫の「甘えん坊化」は、加齢による性格変化と認知症の初期サインの両方があり得る
- 鳴き声・夜間行動・トイレの変化があれば、早めの獣医受診を
- 生活リズムとスキンシップが、猫の安心と脳の健康を守る
猫ちゃんの 食事・生活習慣・病気予防 など健康に役立つ記事もまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてみてください

著者紹介
実体験をもとに「猫と快適に暮らすヒント」を ”ねこだよ!” で発信中。
私たちの日常の様子は、YouTubeでも紹介しています。
みーちゃん family – YouTube
※免責事項
本記事の内容は一般的な参考情報です。
すべてのペットに同じ効果があることを保証するものではなく、個体差があります。
健康管理やケアは、必ず獣医師などの専門家にご相談のうえで行ってください。
自己判断での治療やケアは避けるようにしてください。

