「うちの猫、なぜか右前足の1本だけ爪がすごく伸びてる…」 そんな相談を動物病院でよく受けます。
猫の爪は通常、歩行や爪とぎによって自然に削れるため、極端に伸びる爪がある場合には注意が必要です。実は、「爪が1本だけ削れない」裏には、関節や腱の異常、神経トラブルが隠れていることもあります。
本記事では、動物看護師の臨床経験をもとに、爪が1本だけ伸びる原因と受診の目安を詳しく解説します。
🩺 猫の爪の仕組みを理解しよう

猫の爪は「入れ替わる」構造を持っています。爪の根元(爪母)から新しい爪が成長し、古い爪は外側に剥がれていきます。
🐾 重要ポイント
- 健康な猫では 歩行・爪とぎ・ジャンプ によって自然に摩耗
- 爪が伸びすぎる=「使われていない」可能性
つまり、「爪が削れない」ということは、その爪を使えていないサインなのです。
🔍 特別な爪:第一趾(狼爪)について
前足の内側にある爪(第一趾・狼爪)は、健康な猫でも他より伸びやすいという特徴があります。
理由:
- 地面に接地しないため、自然摩耗が少ない
- 歩行時にほとんど使われない
- すべての猫で定期的な爪切りが必要な部位
⚠️ 第一趾だけが伸びている場合、必ずしも病的ではありません。 ただし、他の指の爪(第2〜5趾)が1本だけ異常に伸びる場合は、何らかの問題がある可能性が高くなります。
⚠️ 爪が1本だけ伸びる主な原因

① 関節や腱の異常(よくある原因)
猫の指先には、小さな関節と細い腱が密集しています。この部分に炎症や変形、脱臼などが起きると、その指だけ爪を出し入れできなくなることがあります。
現場でよく見るケース:
- 高齢猫に多い「変形性関節症(OA)」
- 若い猫でもジャンプや着地の衝撃で腱を損傷することがある
- 猫同士のケンカによる指先の外傷
💡 チェックポイント
- 爪が常に出っぱなしになっている
- 触るとその指だけ嫌がる
- 歩き方が少しぎこちない
- 左右どちらか片側だけに見られる
② 神経トラブルや感覚異常
神経の伝達がうまくいかないと、指を動かす筋肉が使えなくなります。その結果、特定の指だけ動きが悪くなり、爪が削れないこともあります。
可能性としては:
- 頚椎(首)付近の神経圧迫
- 外傷後の神経損傷
- 糖尿病性ニューロパチー(後肢全体の歩行異常を伴うことが多い)
🔍 判断のポイント: 両側の同じ位置の爪が伸びている場合は、全身性の神経疾患の可能性があります。
③ 過去のケガ・外傷の影響
猫同士のケンカや高所からの落下で、指先の骨に微細な骨折が起きていることも。その後、関節が硬くなり、爪の出し入れに影響が残るケースがあります。
④ 爪の異常(腫瘍・感染・過形成)
指先の皮膚や爪の根元に腫瘍や膿瘍(のうよう)ができている場合もあります。外見では分かりにくいこともあり、動物病院でのX線や細胞検査が必要です。
注意すべき兆候:
- 爪の色が変わっている(黒ずみ、変色)
- 指先が腫れている
- 悪臭がする
🩹 自宅でできる観察とケア

✅ 観察ポイント
| チェック項目 | 見られる症状 |
|---|---|
| 爪の長さ | 他の指と比べて明らかに長い |
| 爪の位置 | 第一趾(狼爪)か、それ以外の指か |
| 左右差 | 片側だけか、両側の同じ位置か |
| 指先の動き | その指だけ曲がらない・伸びない |
| 歩行時の様子 | 少し引きずる、足を浮かせる |
| 爪とぎ行動 | 爪とぎの時に使わない指がある |
| 指先の腫れや色 | 赤み、腫れ、変色がないか |
✂️ ケアのコツ
- 無理に切らず、関節や痛みを確認してからトリミング
- 猫が嫌がる場合は、動物病院での爪切りを依頼
- 爪切り時に看護師が「爪の出し方」をチェックできる
- 第一趾(狼爪)は健康な猫でも月1回程度の爪切りが必要
🧠 動物看護師からのアドバイス

私が動物病院で勤務していた際、「前足の爪が1本だけ異常に伸びる」ケースを何度も見ました。
第一趾(狼爪)の場合: 多くは正常な現象で、定期的な爪切りで対応できます。
それ以外の指の場合: 実際に調べると、その多くが 👉 軽度の関節変形や過去の腱の損傷が原因でした。
猫は痛みを隠す動物です。「歩けているから大丈夫」と思っても、指先に負担がかかっていることがあります。
判断の目安:
- 第一趾(狼爪)のみ → 定期的な爪切りで様子見
- それ以外の指が1本だけ伸びる → 動物病院へ相談
- 複数の爪が伸びる、左右対称に伸びる → 全身性疾患の可能性、早めに受診
🏥 受診のタイミング
以下のような場合は、早めに受診をおすすめします。
- 第一趾(狼爪)以外の爪が異常に伸びている
- 爪が根元から変形している
- 指が腫れている・赤い
- その足をかばう仕草がある
- 高齢猫で爪がすぐ伸びる
- 爪の色が変わっている(黒ずみ、変色)
- 左右対称に複数の爪が伸びている
🔍 まとめ

| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 爪が1本だけ伸びる | その指を使えていないサイン(第一趾を除く) |
| 第一趾(狼爪)は特別 | 健康でも伸びやすい。定期的な爪切りが必要 |
| 主な原因 | 関節異常・腱損傷・神経トラブルなど |
| 左右差の確認 | 片側→外傷・局所問題、両側→全身性疾患の可能性 |
| 放置すると | 巻き爪や感染のリスクあり |
| 対処法 | 無理せず獣医師・動物看護師に相談 |
🐈 最後に:猫の「小さな変化」を見逃さないで
爪の状態は、猫の健康を映す”鏡”です。定期的な爪チェックとケアを通じて、猫が快適に過ごせるサポートをしてあげましょう。
特に第一趾(狼爪)は健康な猫でも伸びやすいため、月1回程度の爪切りを習慣にすることをおすすめします。それ以外の爪に異常が見られる場合は、早めに動物病院へ相談してください。
猫ちゃんの 食事・生活習慣・病気予防 など健康に役立つ記事もまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてみてください

著者紹介
実体験をもとに「猫と快適に暮らすヒント」を ”ねこだよ!” で発信中。
私たちの日常の様子は、YouTubeでも紹介しています。
みーちゃん family – YouTube
※免責事項
本記事の内容は一般的な参考情報です。
すべてのペットに同じ効果があることを保証するものではなく、個体差があります。
健康管理やケアは、必ず獣医師などの専門家にご相談のうえで行ってください。
自己判断での治療やケアは避けるようにしてください。

