猫がお尻をこする理由と対処法【動物看護師監修】
「うちの猫が急にお尻を床にこすりつけている…!」 そんな姿を見て驚いたことはありませんか?
この行動には、体調のサインや肛門腺のトラブルが隠れている場合があります。
この記事では、動物病院で日々猫と接する動物看護師の立場から、
- 猫が「お尻をこする」行動の原因
- 肛門腺の仕組み
- 自宅でできる観察ポイントと病院受診の目安
を詳しく解説します。
1. 猫がお尻をこする主な理由

① 肛門腺(こうもんせん)の分泌物が溜まっている
猫の肛門の両側(時計の4時と8時の位置)には、肛門腺と呼ばれる小さな袋があります。 この中には独特のにおいを持つ分泌液が溜まり、排便時に自然に排出されます。
しかし、以下のような場合に詰まりが生じます:
- 便が柔らかくて圧がかからない
- 肥満や運動不足
- 高齢による筋力低下
- 室内飼いで運動量が少ない
分泌液が排出されないまま溜まると、違和感やかゆみを感じ、猫がお尻を床にこすりつける行動を取ります。
② 寄生虫(特に条虫)による刺激
肛門付近に寄生虫(特にサナダムシなどの条虫)がいる場合も、猫は不快感を覚えます。 便や肛門周りに「白い粒状の虫体」が見られたら、速やかに動物病院を受診しましょう。
③ 肛門周囲炎や皮膚炎
アレルギーや細菌感染などで肛門周囲が炎症を起こしているケースもあります。 赤み・腫れ・痛がる様子がある場合は、自宅でのケアは避け、獣医師の診察が必要です。
④ その他の注意すべき症状
以下の症状がある場合も、早めに受診してください:
- 頻繁に肛門周りを舐める
- 排便時に鳴き声を上げる
- 食欲不振や元気消失
- 肛門周囲の腫れや出血
2. 肛門腺ケアについて【重要な注意事項】

⚠️ 猫の肛門腺絞りは基本的に動物病院で行うべきです
猫は犬に比べて肛門腺が詰まりにくい とされていますが、個体差が大きく、室内飼いや運動不足の猫では詰まりやすい傾向もあります。
ただし、自宅での肛門腺絞りは推奨しません。 理由は以下の通りです:
- 猫の肛門腺は犬より小さく、位置が深い
- 嫌がって暴れることで、飼い主と猫の両方が怪我をするリスクがある
- 誤った方法で炎症や肛門腺破裂を悪化させる可能性がある
- 猫との信頼関係を損なう恐れがある
🩺 動物病院でのケア
- 専門スタッフが猫を適切に保定
- グローブをつけ、肛門の「4時」と「8時」方向を指で軽く触診
- 必要に応じて絞り出し、または内部の状態を確認
- 炎症や膿瘍がある場合は適切な治療を実施
🏠 自宅でできること
肛門腺を絞るのではなく、観察と予防ケア に重点を置きましょう:
- 定期的な観察:月1回程度、肛門周囲の状態をチェック
- 清潔を保つ:長毛種の場合、肛門周りの毛をカット(トリミング)
- 汚れがある場合:温かい濡れタオルで優しく拭き取る
- 異常を見つけたら:無理に触らず、すぐに動物病院へ
⚠️ 初めてお尻をこする行動を見た場合は、必ず動物病院を受診してください。 原因を特定することが最優先です。
3. 肛門腺のトラブルを防ぐ生活ケア

| 予防ポイント | 解説 |
|---|---|
| 💩 適度な便の硬さを保つ | 猫用高繊維フード やサプリメントの活用。※猫は完全肉食動物のため、野菜の消化は得意ではありません |
| 🚶♀️ 運動を取り入れる | 肥満予防と筋力維持が肛門腺排出に有効。キャットタワーや遊びで運動を促進 |
| 🧴 定期チェック | 月1回程度、肛門周囲の状態を観察。腫れ・赤み・異臭をチェック |
| 🐾 トイレ環境を清潔に | 便の状態・寄生虫の有無を早期に確認できる |
| ✂️ 長毛種は毛のケア | ペルシャ、メインクーンなどは肛門周りの毛をカット |
4. 動物看護師からのアドバイス

私自身、動物病院で勤務する中で「お尻をこすって来院した猫ちゃん」をよく診ます。
多くは軽い肛門腺の詰まりや軽度の炎症ですが、中には 破裂寸前で痛がるケース や、膿瘍(のうよう)を形成しているケース もあります。
早めの相談が何より大切です。 特に以下の場合は緊急性が高いです:
- 強い臭い(腐敗臭)がする
- 出血している
- 明らかに痛がる(触ると威嚇する、鳴く)
- 肛門周囲が大きく腫れている
- 元気・食欲がない
特に長毛種(ペルシャ、メインクーンなど)は肛門周りが汚れやすく、定期的なトリミングと併せた観察が有効です。
5. まとめ:お尻をこする=体のSOSサインを見逃さないで

| 原因 | 対応 |
|---|---|
| 肛門腺の詰まり | まず動物病院で診察。自己判断での絞り出しは避ける |
| 寄生虫 | 検便・駆虫薬で治療 |
| 炎症・腫れ | 獣医師の診察が必要。抗生物質や抗炎症薬による治療 |
猫がお尻をこする行動は、軽視せず「SOSのサイン」 として受け止めましょう。
自宅での無理なケアはせず、まずは動物病院へ相談することが、猫にとって最も安全で確実な方法です。
普段からの観察と定期チェックが、猫の快適な暮らしにつながります。
この記事は動物看護師としての実務経験に基づいていますが、個々の猫の状態により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
猫ちゃんの 食事・生活習慣・病気予防 など健康に役立つ記事もまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてみてください

著者紹介
実体験をもとに「猫と快適に暮らすヒント」を ”ねこだよ!” で発信中。
私たちの日常の様子は、YouTubeでも紹介しています。
みーちゃん family – YouTube
※免責事項
本記事の内容は一般的な参考情報です。
すべてのペットに同じ効果があることを保証するものではなく、個体差があります。
健康管理やケアは、必ず獣医師などの専門家にご相談のうえで行ってください。
自己判断での治療やケアは避けるようにしてください。

